リーマン一族の栄光とその果て NTLiveリーマン・トリロジー

 

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リーマン・トリロジー観てきた!
トニー賞にノミネートされたし観たかったな…と思ってたので、今回東京・大阪で1週間の上映が決まって思わずガッツポーズしたよね。
いや〜〜本当に面白かった。2回休憩含めて221分あるから正直眠くなったり腰痛くなったりしないか心配だったけど、そんな心配はご無用でした。ラストまで釘づけになりっぱなし。

リーマン一族の3世代に渡る叙事詩を3人の俳優と1台のピアノで紡ぎ、あの有名なリーマンショックに至るまでの150年間が描かれてます。
彼らが元々ユダヤ系の移民でドイツからアメリカに渡ってきたというのも知らなかったレベルで今回鑑賞に挑んだんですが、歴史ドキュメンタリーを観てる気持ちで楽しめた。リーマン一族を軸にしながらアメリカの経済史を知れるのもよかったな。

まず、たった3人で休憩含むといえど3時間に渡る膨大な量のセリフを覚えてるのがすごい。役の演じ分けも女性になったり取引先の重鎮になったり赤ちゃんになったり、1人何役やるんだ…の連続なんだけど、キャストの方々がその都度ちゃんと各キャラクターになっていた。衣装もメイクも変えてなくても、細かい所作や話し方で本当にその役に見せる技術に惚れ惚れ。

さらに3人の演技を際立たせるのがピアノの生演奏。4番目の語り手と言われていたのも納得。その場その場で俳優に合わせて演奏するのって相当高度な技だと思うんだけど、それをさらりとやってのけるのがすごい。

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ガラスのセットが各シーンに合わせて回転しながら場面転換していくのも新鮮でした。
あんな発想どうやったら生まれるんだ〜〜
セット中央にある時計がシーンごとにちょっとずつ進んでるのも芸が細かくて、大きな舞台装置をいくつも使う作品ではないんだけどキャストもセットもシンプルかつ洗練されていたな…
ラストでこれは2008年に起こった現実なんだなと実感できるところまで含めてよかった。

2回目の休憩後に入る演出のサム・メンデスのインタビューで「シンプルを目指した」って言っていたけれど、シンプルゆえに観客側にもスッと内容が入ってくるし繰り返される詩的な台詞回しや小物使いなど視覚や聴覚を使った演出が圧巻で、これを生で観られたら大興奮だろうなと思う作品でした。